ランチェスター戦略とは、フレデリック・ランチェスターが提唱した戦略理論で、日本では営業・販売、マーケティングの分野でライバルに打ち勝つ戦略として知られています。

「こんな大昔の戦略が現代の日本のビジネスに使えるのか?」と考える方もいるかもしれませんが、多様な分野で多くのライバルがひしめく今だからこそ、ただ商品を作るだけでは成功は難しいでしょう。他社に打ち勝つメリットを打ち出すには戦略こそが必要なのです。特にネームバリューのない新規参入や、数で勝負ができない場合、戦略がないのは奇跡を信じるようなものです。

今回はランチェスターの戦略とは具体的にどのようなものなのか、ビジネスに活用するにはどうしたらいいかを解説いたします。

ランチェスター戦略とは「ライバルに勝つための方法」

ランチェスター戦略とは、「ライバルに勝つための方法」を説いた戦略理論です。提唱したのは、フレデリック・ランチェスターというイギリス人で、彼はエンジニアであり、起業家でした。第一次世界大戦が勃発した際にランチェスターは、軍事戦略として「ランチェスター戦略」を提唱しましたが、日本ではビジネス書にも登場し、営業・販売、マーケティングの分野でライバルに打ち勝つ戦略として知られています。

ランチェスター戦略を理解したほうがよい企業とは

単に「ライバルに勝つための方法」なら、どんな企業でも必要となる知識のように思えます。実際に、どんな企業であれ、ランチェスター戦略の理論を取り入れて損はしません。しかし、ランチェスター戦略の注目すべき点は、弱者が強者にいかにして勝つかを追求している点です。

ランチェスター戦略での弱者では、業界で第一位以外の企業のことを指します。第一位の企業は、戦争に例えると、最も兵力のある軍隊で、500対300で戦えば普通は500が勝つように、戦略無しで戦えば負けることはありません。しかし、弱者ならば、何か特別な方法を用いなくては勝てないのは当然のことです。

また、ターゲット層がはっきりしていない場合もランチェスター戦略を用いるとよいでしょう。多くの企業が「幅広い層に愛される商品」を目指しがちですが、その曖昧さが欠点となり、どの層にもヒットしないということがあります。多くの層に目に留まることを目指すには、大規模な宣伝活動が必要ですし、企業自体の知名度も必要です。しっかりとした戦略をもつために、ランチェスター戦略は活用できます。

ランチェスター戦略について詳しく知りたい方は、ランチェスター戦略でコンサルティングを行っている竹田陽一氏の本がおすすめです。書籍以外に、セミナーでも学ぶこともできます。

参考:ランチェスター弱者必勝の戦略(サンマーク文庫)

弱者と強者それぞれの戦略

ランチェスター戦略には、第一法則の「弱者が勝つための戦略」と第二法則の「強者が勝つための戦略」があります。簡単にその内容をお伝えします。

第一法則 弱者が勝つための戦略

第一法則は弱者が勝つための法則、弱者逆転の法則とも呼ばれています。

同じ武器を持った同じ体格の兵士ばかりで、500対300で戦ったら、300には絶対に勝ち目はありません。数が少ないほう、弱者が勝つためには有利に戦うための戦略が必要です。例えば、兵士によい武器を持たせる、企業でいったら、社員の教育に力を入れる、社内の環境整備をする。大勢の兵士がいない場所で戦う、企業でいったら、ライバルの少ないニッチな市場を開拓することです。

逆にいえば、弱者が勝つのは正攻法では難しいですが、複数の方法があり、それを用いれば可能といえるでしょう。ビジネスにこの視点を加えることで、明確な戦略も立てやすく、無駄もなくせます。

第二法則 強者が勝つための戦略

強者は数で勝るため、その数を有効活用できる戦場で戦うことが最も勝利しやすいです。つまり、従来の大きな市場でマーケティングを展開することで順当に勝利を得られます。

また、勝者の場合は、資本も人材も豊富なため、ニッチな市場でライバル社がヒット商品を開発したなら、同じような商品でさらにグレードアップしたものを発売し、その市場を奪うことも可能です。ライバル社から有能な人材を引き抜き、自分の戦力にすることもできます。

弱者が強者に勝つための五大戦法

ランチェスター戦略では強者の戦略も提示していますが、実際のところ、より戦略が必要なのは弱者といえるでしょう。弱者が強者に勝つための五大戦法をご紹介します。

局地戦

局地戦とは、「地の利を活かす」「ビジネスの領域を絞る」戦法です。例えば、地方の中小企業であっても、その土地のことを熟知していますし、その土地でのコネクションもあります。その土地ならではのニーズを救い上げ、売り上げを伸ばす方法がとれるのです。

具体的には、複数の商品を売っていた会社が地域を絞り、その地域の方にとってメリットが大きい1つの商品に注力して販売する。そうすることで、その地域の、その商品のNO1になれるといったことです。

一騎打ち

優秀な営業マンを育て、顧客に訴えるプレゼンテーションを行って受注するなど、高い能力のある社員個人によって勝つ方法です。この場合、その社員の待遇を良いものにし、権限を与える必要があります。

一社とのみ契約している会社に対して、「うちとも契約してください」というのは難しいでしょう。ライバル社よりも、優れた商品、プレゼンを行い、取って代わるほうが現実的には達成しやすいのです。

接近戦

顧客に近づくことで受注を獲得する戦法です。ライバルではなく、こちらを選んでもらうために、顧客に好感をもってもらうよう企業イメージを高める必要があります。

例えば、ネット通販ではなく、特定の地域に出向いて直販を行い限定販売してアピールする、広告でも顧客になりそうな人たちをターゲットにしたキーワードを使い、SNSなどで宣伝するといった方法です。

一点集中主義

ターゲットをしっかり定めて、そこだけに集中して営業を行う戦法です。ターゲットにとってどの商品よりもマッチした特化した商品作りをします。

どんな巨大な相手でもすべてを網羅するのは難しいものです。ここだけなら勝てるというポイントを選ぶ、リサーチ力も必要となります。

注意すべき2つのポイント

ランチェスター戦略でライバル企業に打ち勝つためには、以下の2つのポイントを注意してください。

差別化の意味を理解する

弱者が強者に勝利するためには、大企業にはないメリットを打ち出し、差別化を図ることが大切です。品質が良いというのは、すぐに思いつきますが、実際の品質のよさは使用してもらって分かります。ある特定の顧客がどんなものなら買いたくなるか、その気持ちに寄り添うことが差別化です。例えば、子育て世代がターゲットなら、子どもでも使いやすい、安全、見た目が親しみやすいといった面を重視するといったことになります。

また、単なる値下げは差別化とはいえません。特に弱者の場合は、付加価値を高めてよい商品の価格を上げても販売することで、それを求める顧客を獲得できます。

さらに、付加価値は1つよりも、複数あるとよいでしょう。ただし、その顧客が望まないものは付加価値とはいえません。同じ分野からヒントを得るのでは真似になってしまいますので、他分野の商品を参考にするとよいでしょう。

マーケットシェア理論

マーケットシェア理論では、その市場においてどれくらいの割合のシェアを自社が獲得しているかによって市場での地位の安定感を計り、目標を定められます。例えば、新規参入の市場の場合、目標値は3%です。それより低い場合は、その市場のプレイヤーとして戦うこと自体難しいかもしれません。

一般的に、その市場でのナンバーワンとして安定的な地位を獲得にするには、42%が目標値となります。ニッチな市場の場合、ナンバーワン企業は70%以上であることも少なくありません。

現在の市場でのシェアを確認して、戦い方を決めていく必要があります。

まとめ

ランチェスター戦略をビジネスに活用するために、実際の事例を参考にするのがおすすめです。理論だけを頭に入れても、どの戦略が適しているかなど、分からないことが多いでしょう。

また、様々な方法を当てはめてみるというのも手です。自分でも驚くような方法が思いつく可能性もあります。

自社企業の強みを生かしてライバルに勝つにはどうすればいいか、そんなお悩みはどの会社も抱えているでしょう。WEBサイトの戦略についてもランチェスター戦略は学ぶところが多くあります。当社では、貴社のリソースやサイト状況に合わせたオリジナルな戦略立案をお手伝いいたします。ぜひご相談ください。